嫁入り道具の付け下げ。

160223 久しぶりに着ようと思って出してみたら、ところどころにシミが…。
 拝見すると左袖の内側(写真上)、右身頃の後ろ側の裾(写真下)、左身頃の後ろ側の膝裏あたりの3カ所に黄変が。「28歳になる長男の入学式に着て以来だから、20数年ぶりに出してみたんですよね」と聞くと、真っ白だった裏地をはじめ、たった3カ所程度の黄変しかなかったのが不思議なくらいです。当然のことながら、しっかり湿気を吸ってしまった畳紙は、ニコチンにやられてしまった壁紙のように薄茶色。
 さて、この黄変たち。左袖の内側(写真上)にある黄変は、真っ白な地色、つまりまっさらな白生地が変色しただけなので昼飯前。なんですが、問題は右身頃の後ろ側の裾(写真下)と左身頃の後ろ側の膝裏あたりに見られる花弁の中、つまり*胡粉で白く描いてある中にある黄変たちなんです。さっそく悉皆屋(シミ抜き職人)さんと相談し上手くいきそう、、、だったらお客様に見積もりを提案し、加工内容と金額を承諾頂いてから手を入れてもらいます。
 「嫁入り当時、「40歳までは着れるからね」といって母から買ってもらったのに、もう60歳も手前になって着ようとしている私(笑)。けどこれを最後に娘に譲ります」とおっしゃって、シミ抜き後にパールトーン加工も承りました。お召しになるご本人も嬉しそうですが、その隣には何倍も嬉しそうな笑顔のお母様(泣)。

*胡粉[ごふん]
白色の顔料。貝殻を焼き、砕いて粉末にしたもの。成分は炭酸カルシウム。室町時代以降に用いられるようになった。

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