「はじめて着ましたよ〜!」

藍染の無地に若松の帯。

 新型ウィルスが流行り始めた最初の秋のこと。
 商いも何もかもがにっちもさっちも行かなかったいながらもほんの少し状況が好転したかのように見えた11月に、僕ら小売店が売れないのですから京都の問屋に溜まりに溜まった品々を弊社2階にドーン!と集めて展示会を開催しました。その時にお買い上げ頂いたのが写真の色無地。今か今かとお召しになった姿を拝見する日を楽しみにしていたのですが、ようやっと目の当たりにしました。椿の花と葉っぱが地模様の白生地に天然灰汁発酵立てという昔ながら技法で生まれた天然藍の染料で染められた色無地は、天然藍独特の藍色ながらも赤みや緑みのある何とも言えない、決して単色の化学染料では出せない深みと光沢があります。の色無地に「こんなにもおめでたい柄なのに、もともとはなごや帯だったんです。それを袋帯に誂えてもらいました」とおっしゃるのは小さめな市松紋様の帯地に若松や松ぼっくりの刺繍がたっぷりと施された素敵な帯。
 「今日はね、初おろしだったからどうしても池田屋さんに見せたくって!」と御主人様をお待たせしてまで来て下さいました。販売してもお召しになったお姿を拝見することの方が少ないので、こうしてお買い上げ頂いたきものや帯が活躍している姿を拝見できるのは本当に嬉しい限りです。

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