「寸法を直すのが面倒だから」とずーっとこの状態でお召しになっていたのだとか。
きものでは肩巾と袖巾を足した袖の長さのことを裄[ゆき]と言い、採寸する際に最も気をつける寸法の1つです。一般的にはきものよりも長襦袢の裄を二分(約5mm)控えて、きものの袖口からチラリと覗く程度をよしとしています。例えば洋装でも、ジャケットのインナーに着ているシャツの袖が短すぎず長すぎないオシャレな丈が存在するように。
で、本日寸法直しでお預かりしたお客様の長襦袢がこちら。「どーも長襦袢の裄がきものよりも長くて袖口から出てきてしまうの。最初は私の着かたが悪いのかと思っていたんだけど、脱いだ時に合わせてみたらやっぱりそう」とはお客様談。だからと言ってせっかくの長襦袢の袖を安全ピンで留めたままずっとお召しになっていらしたなんて…。応急処置ならいざ知らず、このまま放っておくとご想像の通り穴が空いてしまうことはもちろん、汗などの湿気から安全ピンが錆びてしまって茶色く色が移ってしまう恐れも。
せっかくのオーダーメイド。衿まわりや裄の寸法は特に気をつけて欲しいものです。