衣替えの頃。

 そう言えば、6月1日になると学生服を脱いでシャツで登校していたのを思い出しました。
 本日、色無地2枚、小紋2枚、付け下げ1枚の5枚もお手入れにお持ち込みになったお客様は、お茶の道に精進されているために本当によくお召しになる方のおひとり。毎年この季節になると袷のきものをドサっとお持ち込みになって、加瀬が爽やかになった秋の入り口になると単衣や夏のきものをまたドサッとお持ち込みになります。いやXあ、今回も「よくここまで汚して放っておかれましたね(笑)」とつい口にしてしまうほどの汚れっぷり。特に衿まわりと袖口はいさぎな(唐津弁で大した)もの。これからそれぞれのシミや変色の得意分野に別れてお手入れを依頼し、秋に備えて頂くです。
 さて。衣替えは平安時代の宮中行事に始まると言われていますが、明治6(1873)年1月1日より新暦(太陽暦)が採用され、6月1日〜9月30日が夏服、10月1日から翌年5月31日が冬服と定められたのをきっかけに、これが学生服や一般の人にも定着し、官公庁などにも普及したと言われています。と同様に、きものも6月1日〜単衣、7月1日〜絽や紗などの夏物、9月1日〜単衣、10月1日〜5月31日が袷をお召しになるようになったと言われています。
 以前にもお話ししたことがありますが、昨今の異常気象然り、冬から春を経ずにいきなり夏がやって来たようなお天道様のご機嫌然り、気象庁が発表しているデータに基づくと実に明治時代から平均気温で3度ほど上昇しているのです。なのに5月に袷だなんて無謀すぎますし、僕はすでに単衣を着るようにしています。しかも長襦袢は麻で涼しく。これも何度も書いている気がしますが、結婚式や茶事など日本人らしくまわりの方と歩調を合わせて(空気を読んで)お召しになった方が良い時以外は、ご自分の体感でお召し物を選ばれることをお勧めします。暑いのも寒いのも、不快指数が高まるのも自分自身ですからね。そしてもしも、「こんな時は何を来て行けば良いのかしら?」とお悩みの時には是非ともお気軽にご相談ください!
 と、毎年忘れずお手入れのきものをお持ち込みになるお客様とお話ししながら、又しても思い出したように衣替えのお話し。

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