昨年秋の唐津くんちの宴席で、曳子装束の肉襦袢に使う生地「羽二重」が近い将来無くなるかもしれないことを高校時代の同級生たちと話していると、大阪在住でくんちに参加するために毎年帰省しては盃を交わすひとりが「俺の取引先に羽二重工場があるから一緒に行こう!」と目から鱗発言が飛び出しました。ですが宴席でのひとコマな上に、僕と彼以外の同級生たちが羽二重の将来について真剣に考えるはずもなく、その後話題に上ることもありませんでした。が、僕にとっては曳子として、さらには生業の誇りを胸に秘めた十数年来の大問題。思い立ったが吉日論者の僕は唐津くんち明けすぐに彼に連絡をすると、これまたすぐに御縁を結んでくれて今日この日を迎えた次第なんです。えっへん、
そもそも羽二重とは、緯糸[よこいと]に捻りのない糸で織られた日本を代表する絹織物のひとつで、軽くて独特の光沢や滑らかな肌触りが特徴の生地。機械で織りますが、用いる糸や織り方など様々な要因によって湿度のある地域でしかあることができず、雪深い福井県や新潟県五泉市が主な産地として有名です。で、今回訪れたのは眼鏡の産地としても有名な福井県鯖江市にある絹織物と合成繊維のスーパーウルトラスペシャルメーカー。ひとたび工場に足を踏み入れると、合成繊維を生み出す凄まじい数の織機たちが見たこともない速さで動いていました。1日約1,000メートルを織り上げるそうです。方や絹織物は繊細なため、まずは織るまでの準備も然ることながら、一度止めてしまうと織り段が生まれてしまうため1日中お昼も休まず織り続けても約25メートル。いずれも需要に供給が追いついていないとのこと笑。

中でも最も強く感じたのは、糸質や織り方、巾や目方など種類に数あれど、本日お会いした御夫婦がいらっしゃる限り羽二重が無くなることはない!ということです。ふぅ、いろいろと唐津に帰ってから考えます。あっ、羽二重餅を買い忘れた!

《きもの365日のしるし》
令和8年3月
店主vs女将
着 用…2:0
着 付…0:0
レッスン…0:0
1日(1:0/0:0/0:0)
2日(1:0/0:0/0:0)
3日(0:0/0:0/0:0)

