小紋再生の例①

まずはお客様のご予算とご要望を伺う。

繕いを希望される箇所は大きく分けて3つ。

 最初はお洒落着、その後はお茶のお稽古着として大車輪の活躍を見せていたという小紋。
 お出かけと言えば足捌きによる八掛の擦れ。お茶といえば正座と立ち座り、座ったまま手を動かす所作や畳の上をにじる(移動する)ことが多いので、脇や両腿の外側や膝回りに擦れが多く見られるのが特徴。
 そこで今回繕いを希望されている箇所は大きく分けて3つ。

①上前の擦れ
②脇の擦り切れ
③八掛の擦り切れ

 ご予算も伺った上で、せっかくなのでこの機会に洗い張りをしてまずは全体をきれいにしてから繕うことに決定。洗い張りの詳細はこちら ☞ https://kimono365.jp/?page_id=12332


①上前の擦れ

 洗い張りをして反物の状態になった小紋の衽を左右上下を入れ替え(Dを右衽の上Cを下へ)、左身頃と右身頃を胸の下辺りにある縫い上げの位置で断ち切って左右上下を入れ替え(Bを右身頃の上Aを下へ)て仕立てました。日焼けで色の違いが出るのでないかと心配しましたが、ほとんど分からなかったのでホッとひと安心。

Cの右下とBの上に白くぼかしたようにある擦れた部分。

左右上下を入れ替えると、新品同様になりました。


②脇の擦り切れ

 表地も裏地も擦り切れが見られましたので、少し縫い位置をずらして仕立てました。そのため袖付側に少しだけ元の縫い目が出てしまいましたが、ほとんど気にならない程度でした。

胴裏は完全に擦り切れてしまっていた脇(袖付)。

擦り切れなんて跡形もなく綺麗になりました。白い線は元々の縫跡。


③八掛の擦り切れ

 擦り切れという意味では最も傷めつけられていた部分。高さ1.5cmくらいまで擦り切れが進行していて、よく裂けてしまわなかったなぁというのが正直なところ。胴裏と八掛の縫代から少しずつ生地を出し合って直しましたので、身丈が短くなることもなくできました。


要するに『洗い張り+裁ち合わせ&仕立て』

 3つの修正箇所を少しずつ繕うよりも、一度洗い張りをして全体的に繕った方がきれいに仕上がることをご予算も含めてご理解頂いたことが大きな勝因となりました。
 ということで今回かかった費用は、

洗い張り…11,000円
仕立て …30,800円
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合 計 …41,800円

とにもかくにも、まずはお気軽にご相談ください。


《針しごとの種類》

  • 仕立て
    女将が裁ち合わせて、熟練の和裁士に仕立てを託します。
  • 半衿つけ
    長襦袢の半衿縫い付け代行サービス。
  • 寸法直し
    裄(手の長さ)、袖丈、身丈、身巾などの寸法を整える。
  • 修繕いろいろ
    ほつれや擦り切れを傷が広がらないうちに整える。

 *そのほかの針しごともお気軽にご相談下さい。