「このきものに合う唐織の帯が欲しい」とお預かりした訪問着は豪華絢爛。
一言に『唐織』と言っても様々。濡れた糸で織る張りのある生地とふっくらと光沢のある緯糸による共演は、みなさま御存知の通り、これまた豪華絢爛。この豪華絢爛同士をどうやって上品に組み合わせるのか、それでいてお客様のお好みに合うのかが今回(先日の京都出張)の最大の悩みどころでした。
そして本日、数軒の機屋さんに手配した中から晴れて選ばれたのは、京都は西陣が誇る機屋の中でも能衣装を得意とする、つまり唐織を十八番とする山口織物。山口織物と言えば、「晴耕雨織」と自らの織三昧の日常を表現し平成22(2010)年に105歳でお亡くなりになる直前まで、半世紀に渡って織物に挑まれた山口安次郎氏の工房。お兄様の伊太郎氏とともに100歳を超えてなお織り続けていらしたこと、若かりし頃にはかのGHQマッカーサー元帥に能衣装を寄贈されたことは有名な話です。なんて余談はさておきまして、ご覧ください!この豪華絢爛な中にも上品な色遣いで、同じく豪華絢爛な訪問着とも喧嘩せずに、帯〆できりりと色を〆て手前味噌ですが上手く落ち着きました。貝合わせ模様の帯揚もお気に召してくださって。
残るはお召しになる日を待ちわびるのみ。