かれこれ10年ほど前にお見立て頂いた大島紬の*アンサンブル。
毎年恒例とは言え、車で小一時間の遥々福岡市からお手入れに持ち込まれました。藍や縞などもあったの中から少し明るめの土色の亀甲を選ばれたのを覚えていて、納品を予定していた年明け早々に大雪でスタッドレスタイヤに履き替えて伺ったのでとても印象深い一式。粋な大津絵の描かれた長襦袢も生地の気持ち良さが群を抜いています。今も大切にお召し頂いているのが嬉しい限り。実際にお召しになったところを拝見したことはないのですが、お正月にこの大島紬をお召しになって、方々から新年の挨拶にお見えになるというご来客を受けられたのかと想像しますと、なんとも感慨深いものです。ついつい簡略化してしまう昨今において、形式に乗っ取りしきたりを重んじることは簡単ではありません。我々も見習いたい一面ですね。
「いつもお世話になってばかりで。みなさまでお召し上がりください」ときもの一式とともに頂いた、これまでに見たことのない数の入った(45個入)筑紫もちを頬張りながらそんなことを思った44回目の誕生日。
あれ?もしや僕への誕生日プレゼント。まさか、
*アンサンブル … 同じ生地のきものと羽織。