えっ?おかあさんの?

 「あのー、きもののお手入れってお取り扱いありますか?」
 閉店間際に振袖一式をお手入れに持ち込まれました。鮮やかな青と緑が入り混じる中に辻ヶ花模様が染められた古典的でありながら現代的な、さも最近誂えられたもののような。シミなどを細かく拝見してみると、ところどころに解れや生地の痛みが見られたのですが念のために「このきものは近頃誂えられたものですか?」と尋ねると、「いいえ、私が25年くらい前に着たものを娘にも着せました」とのこと。振袖がお客様の雰囲気に一致していたのと、お世辞ではなく本当に若々しい印象でしたので、お客様のために昨年誂えられたものと言われてもきっと疑いませんでした。ということで、まさかのお母様でした(笑)。この振袖に加えて山吹色に真っ赤な梅がぽつりぽつりと絞りでそめられた可愛らしい長襦袢。に対してちょっと古めかしい色遣いながらも檜扇が織られた豪華な袋帯。衿元の皮脂汚れが気になられた水浅葱色の重衿。
 よくよく考えてみると、お母様は僕の同級生くらいか。ふぅ、

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