黒紋付というよりも「喪服」として名の通っている黒無地五つ紋付。
漆黒の色無地で家紋が背中に一つ、両胸に二つと合わせて三つ、外袖二つと合わせて五つ入っているものがあって、家紋の多さによって格式を表しています。喪に服す時にお召しになる「喪服」は、現在ではご家族の場合にのみお召しになることが多いので、誂えられるほとんどが五つ紋付です。
さて。本日お手入れでお預かりした黒無地五つ紋付きは「喪服」ではなく、半ば「制服」とも思えるほど活躍後に里帰りした一枚。大好きな日本舞踊の道を極めるべく日々精進する花柳女子から預かりました。「舞台の裏方としてお仕事をする際にいつも着ていたため、動きが激しく汗をかくことが多かったです。さらに長時間着るので着崩れないように腰紐や帯をいつもよりもキツめに絞めていたので擦れがひどいです。それから膝を着くことが多かったので裾や膝周りが心配です。よろしくお願い申し上げます」とお手紙を添えて。
はっはーん、なるほどね。おじちゃん、頑張る(涙)