久しぶりの企画展は、それはそれは静かな立ち上がりとなりました。
が、お昼を挟んで午後一番にお客様が御来店されてからは一変。こんなに大変な世の中にも関わらず、向島めうがやの足袋を誂えて頂いたり、なごや帯を楽しんで頂いたり、めーっちゃくっちゃ久しぶりに御来店頂いたり、楽しいひとときがひとつふたつと重なりました。
今日は珍しいきものやお洒落な帯が嫁いで行ったのですが、中でも写真の帯は単純な中にある手工芸の傑作のひとつで、沖縄県南風原に工房を構える上原美智子氏作のあけずば織なごや帯『綾織格子』。「あけずば」とは、沖縄の言葉で「あけず」が蜻蛉、「ば」は羽のこと。古くは琉球舞踊の謡曲の中で「愛しいあの方に、蜻蛉の羽のように薄い薄い着物を織って差し上げたい」と唄われているとか。福木、梔子、琉球藍という三つの天然染料を用いて染められた糸の色と綾織という組織を交互に織りながら格子模様を生み出しています。そしてこの光沢と張りは、まさに蜻蛉の羽のよう。この帯を結んだきもの姿でまた弊社の前を行ったり来たりされるのかと思うと涎が落ちそうです。
向島めうがやさんの足袋誂え会もご新規や調整で大忙し。この秋はお洒落な方々で賑わいそうな予感。