只管打坐。

 45年の人生で初めて招かれた得度式へ。
 この春に高校を卒業するお寺の息子ではない18歳の少年が、大学生でも社会人でもなく、得度受戒し僧侶になりました。戒を授ける住職と副住職、ご両親やご家族、そこに茶道の師匠や僕を含めた座禅仲間が10人ほど招かれました。静かな決心と覚悟を持った彼を見守ろうと集った小さな得度式は、まるで嫁いでいく娘を送り出すかのような何とも言えない感情が溢れた温かいひとときとなりました。

天然藍で染めた大島紬は、母のお下がりを仕立て替えた一枚。
 与えられた名は、『承法(じょうほう)』。つまりこれからは承法禅士。彼は目の前に広がる多感な青春時代も、育ててくれた家族とも、すべての交わりを絶ち切って厳しいことで知られる大徳寺僧堂にて修業の道を歩むのです。つまりは「只管打坐(しかんたざ)」。ただひたすらに坐ることで体と心をひとつに。僕には到底想像もできない道を歩もうとしている18歳の少年の姿に、励ますなんてできるはずもなく敬意を表するのみ。ということで彼が着るであろう藍染の法衣に心を寄せて、天然藍で染められた大島紬の無地に黒紋付羽織で臨みました。
 見上げた空には不知夜月(いざよいづき)。ひと晩中月が出ていることから、夜を知らない月という意味です。新しく僧侶となった彼を照らし続ける今宵の月を、僕は生涯忘れることはないでしょう。

帰宅して屋上から見上げた不知夜月。

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○3月のきもの成績
若女将10vs10若旦那
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◉2月のきもの成績
若女将27vs26若旦那
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◉1月の対戦成績
若女将27vs11若旦那
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