「30年ほど前に主人が着た一式らしいんです」と少し不安げに持ち込まれるのはよくあること。
そっと畳紙を開くと閉じ込めたままの時間が独特の香りを伴って広がります。「本当にこれが使えるのだろうか」と半信半疑のお客様は多いのですが、こちらのきものと袴は、見た目には目立つシミもなく生地も弱っていませんでした。「まずは洗ってみましょう」とカビ取り洗いを提案しました。カビ取り洗いでは通常の丸洗いに加えて手作業で入念に表と裏のカビを洗い流していきます。きっと見違えるようになって戻ってくることでしょう。七五三の準備はお早めに。
そういえば今日通りがかった近所のお寺の掲示板に「一番大切なのは準備」と書いてありました。