男物を女物に仕立て替える。

 その逆も含めてしばしばあるご相談です。
 今回は譲り受けられた男性用に仕立てられている裏地のついた袷の御召を、洗い張りをして胴裏八掛を変えて女性(私)用に仕立て替えたい!というご要望。
 一般的に男性用のきものには、通裏[とおしうら]と言って、その名の通り肩から裾まで同じ色の生地をつけます。正絹、木綿、ポリエステルなど素材は色々とありますが、今回のきものについていたのは男性用の裏地によく用いられる金巾[かなきん]という木綿でした。金巾とは、細い番手の糸でしっかり織られた薄手の生地で肌触りがよく丈夫なため、きものの裏地のほかシーツなど夜具にも用いられます。が、木綿は木綿で絹よりも重たいのに加えて紺色がお客様の雰囲気に合わないので、胴裏八掛を交換、特に八掛の色合わせを楽しみにされています。
 と、その前に。このきものがお客様の寸法に仕立てられるかどうかの検証が必要です。そこでさっそく袖付を解いて縫代が十分にあることを確認(写真下)。続いて肝心要の身丈なのですが、残念ながらお客様のご希望の寸法からすると3寸3分(約12cm)も足りません。そこでお端折りで隠れてしまう部分に違う布を継いで身丈を確保することを提案して無事合意。洗い張りから上がって来るまでに、八掛の色合わせと細かい採寸をして仕立てに挑みます!
 また一枚、深い眠りに就こうとしていたきものが陽の目を見ます!こんなお手伝いこそ呉服屋冥利に尽きるのです。行きましょうね、これを着てご飯食べに。

◉仕立て上がるまでの料金
きもの(袷)
 洗い張り…10,000円
 胴 裏 …18,000円
 八 掛 …18,000円
 継ぎ布(選定中)
 仕立て …28,000円
 継ぎ代 … 3,000円 
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 合 計  77,000円
 (+継ぎ布+消費税)

袖付けを解いてどれくらいを伸ばせるか縫代を確認。

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