高校三年生の担任をされているお嬢様向けに袴の御注文を頂きました。
糸偏の道を歩み始めて20数年になりますが、恥ずかしながら女性用の袴といえばこれまで販売経験のあるのは女子大生のみなさんが卒業式にお召しになるウールやポリエステルの仕立上り品ばかり。うっかりそちらばかりに目を向けていると、「一生に一度しか買わないから、良いのを誂えてあげたいんです」とのお母様のお申し出に赤面。慌てて反物を取り寄せ、ご覧に入れました。清楚な紺か紫を御希望だったのですが、微妙な色遣いで様々。帯はマットな春色の縞がきものにも袴の色にもぴったりな博多織の小袋帯。どの色に決まったかは秘密です。
ここでさらにうっかり!仕立てを依頼しようと思っていた袴の産地、山形県は米沢の縫製工場に尋ねると「現在、同じような先生方の袴の仕立てが立て込んでいて御希望の納期には間に合いません」とっとっと。これまた慌てふためいて京都の取引先と地元の仕立て屋さんと交渉の末、なんとか3月1日の直前も直前に納められる手配完了。ふぅ、
昨春に誂えて頂いたあの訪問着に、この袴。卒業式に忍び込みたーい!