今日は嬉しいお手入れのご相談。

羽織を仕立て替える。

 きものをお召しになる前提のお手入れの御相談ほど嬉しいことはありません。それが遥々車で小一時間の福岡市内からの御来店となると嬉しさは万倍。
 実は7月はじめに御注文を頂いていた岩佐の草履が挿げ上がったので連絡を差し上げたところ、受け取りに御来店になるついでにお知り合いから譲り受けられたきものや羽織の寸法直しの御相談を。絽の訪問着1枚と袷の訪問着2枚と1枚、そして写真の素敵な長羽織1枚。
 まずは絽の訪問着のご相談から。先日お召しになった折にお茶を溢されたのだとか。確かに水性の輪ジミが。加えて背中に汗と帯の摩擦による変色あり。こちらは専門家に見積もりを依頼することに。つづいて来春にお召しになる御予定の訪問着はひとまず丈直しをやめて裄直しのみ。続いてその先の秋にお召しになる訪問着と羽織は、お洒落に着こなして譲ってくださった方にご覧に入れたい一式。訪問着は裄直し、羽織は洗い張りをして裄も身丈も袖丈も、生地が劣化して裂けはじめた裏地は写真の七宝柄に。最後のご相談となった緑地に朱色の織られた一見可愛らしくってお洒落なは裄抱け直してひとまずこのまましばらくお召しになって、将来は真っ赤な八掛を茶系か鼠系か紫系に替える時に洗い張りをしてすっきり仕立て替えを。とにもかくにも、お召しになりたい!のですから御相談に乗らない手はありません。もう乗り乗りです、僕も女将も大女将も。
 昨日は電話で「実家にある母のきものはもう誰も着ないので処分しようと思っていますが、何か良い方法はありませんか?」という御相談を頂きそれはそれで仕方のないことだとは分かっちゃいるのですが、今日のような御相談は万倍どころか億倍うれしかとです。
 いろんな想いがあって手に入れられたきものや帯を、ご家族はもちろん血縁がなくても御縁で想いがつながって大切にお召しになるのであれば、一枚のきものを通じて素敵な物語は続きます。そのお手伝いをするのが僕らの役まわり。生まれ変わる羽織をお楽しみに。つづく、

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