7年前の3月に訪れた染織のまち米沢は、すっかり雪に囲まれていました。きっと今も白銀の世界が広がっているに違いありません。
そんな米沢から届いた春のお便りは、槐樹[えんじゅ]の蕾を使って煮出した染料をアルミ媒染で染めたなごや帯。春の息吹を感じる黄色と絞りの柄がとっても可愛らしくって、つい手を伸ばしてしまいました。単色なので、きものの色柄はもちろんですが帯〆や帯揚の色合わせ次第で巾広く楽しんで頂けるのではないでしょうか。同じ槐樹でも、蕾ではなく樹の芯を使って煮出した染料を銅媒染で染めると*海松色に染まるのだとか。植物の生命を頂いて染めた色には驚かされます。
この帯がどなたの元へ嫁いでいくのか、楽しみは膨らむばっかり。
*海松色[みるいろ] …黒色掛った黄緑色で名は海藻の海松に由来します。洋名だとOlive Green[オリーブ・グリーン]。