美人三姉妹のお宅へ

 九月の昼下がり。照りつける夏の名残を身に受けながら、唐津市内のとあるお宅へ伺いました。
 落ち着いた日本家屋に一歩足を踏み入れれば、積み重ねた歴史の証がそこここに。「こんにちはー」とお座敷に揃われたのはお嬢様方。まあ、美人三姉妹!華やかなことといったらありません。
 さて、本日こちらに伺ったのは、そのうちのお一人のご披露宴で、他のお二人がお召しになるお着物を拝見するためです。写真左はオレンジの訪問着に黒地の袋帯。カラフルな唐織りが印象深いコーディネートです。右は紺色の振袖にシルバーの袋帯。お母様が特にお気に入りの帯です。お召しになった姿をこれほど見たいと思ったこともそうはありませんでした。
 コーディネートが終われば、小物の点検や畳紙の入れ替え。お客様のお着物を手にすると、皆様必ずお母様やお婆様のお話をなさいます。「この白い着物、母が着ていたの覚えてます」とか「お婆ちゃんは粋な人やったとですよ」とか。時にはご両親の馴れ初めまで。その度に大切な想い出を話してくださったことが嬉しくて、同じように大切に覚えておきたいと思います。ひとしきりお話いたしまして、半衿の付け替えとほつれ直しを承って失礼しました。帰り際、玄関でお見送りくださった長女様。まだお若いのにと感心しながら車に乗りました。
 お土産にくださった千成瓢箪(もなか)を頬張りながら、きっと三人のお嬢様には鈴なりの幸せが待っているんじゃないかなーってぼんやりと感じました。若女将拝

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