お宮詣りあるある。

 それはそれは、優しそうなお父さんが持って来られました。
 荒波の中に浮かぶ兜に虎は、30数年前にお父さんがお宮詣りに続いて七五三詣りでお召しになったきものです。つい1週間くらい前にお生まれになったばかりの赤ちゃんのために久しぶりにタンスの奥から出してみられると、ごごごご覧の通り。これ、お宮詣りあるある。
 上の写真だと分かりませんが、よく見ると湿気からくるカビや黄変が全体に広がっています。これは丸洗い(油洗い)やカビ取り(水洗い)で少しでもきれいになると良いんですけど、なかなかそうはいきません。特に色が差してある部分の変色は、そんじょそこいらの技術では手に負えないのです。そこで方法は大きく分けて三つ。
①ひとまず丸洗いで全体を洗う/3,850円
カビ取りまで行う/2,200円〜
③とことんお金をかけて染色補正/要見積

全体にある黄変。これが厄介者なんです。
黄変が少しでも薄くなることを願って、全体を洗います。

 ①は特選のドライクリーニングで、石油系の溶剤を使ってブラッシングやドラム洗いで落とせるだけの全体洗いです。職人プレスできれいに仕上がりますが、カビや変色までは手が及びません。②は強力な霧吹きみたいな水を使ったガンで、生地にあるカビ菌を可能な限りやっつけます。この作業で黄色く変色してしまった部分が薄くなることがありますが、カビも変色も完全に取れた感はありません。③は特殊な技術を持った職人に託し、筋汚れ、全体のくすみ落とし(油性洗い/水性洗い)、変色シミなどすべてのシミに対して処理をした後に、シミ抜きによって生地の色が抜けてしまった部分に対して、部分漂白や色合わせ、生地を整える地直しや最終的な染色補正まで行って、ほぼ新品同様の仕上がりになって戻ってきます。が、最低でも3〜5万円ほどはかかります。要するに新しいお宮詣りのきものがもう1枚お求め頂けるかもしれません。もうそうなると、きものをお求めになった値段や価値ではなく、どれほど大切に想うかという価値になってくるので、実にお客様次第ということになります。

濃い地色にも黄変が見られます。
濃い地色が茶色く見えるのは、変色している恐れあり。

 ということで、本日のお客様は①と②をご希望で、加えて両袖付に解れが見つかったのでそれも含めて見積もりを提案することにしました。こんな大変な世の中にも希望の光とも言うべき赤ちゃんが、頑張って御両親に元気に逢いにきてくれたことを、地域の宝として僕たちは「きもの」を介して応援するのです!

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6月のきもの成績
若女将2vs2若旦那
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△5月/26vs26
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○4月/27vs28
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△3月/29vs29
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◉2月/27vs26
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◉1月/27vs11
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