東京で夢を追って新しい生活を始めたお客様から電話。
てっきり「さみしいけどがんばってます!」って報告かと思っていたら、なんと「黒紋付が必要なので急遽誂えたいのですが、」と。思わず「どうして?」と尋ねてしまいました。歩み始めたその道で、事あるごとにお召しになるそうなのです。「家紋はいくつ?」とたずねた数日後、「家紋は五ツで、」と今時の子らしくLINEにて。そのそっけなさに寂しくなりながらも、新しい毎日を懸命に過ごしているんだろうなと思うと、応援したい気持ちとたくさんお話ししたい気持ちをグッとこらえて時間をとらせないように簡潔に返答しました。家紋を入れる場所だけ白く空けて染めた石持ち入りの黒紋付地、長濱(滋賀)と丹後(京都)の白生地を取り寄せた中から、長濱の白生地に決定!
はじまりの黒。凛とした姿を想って父のような気持ちでじんときました。