江戸小紋「七宝」

 「ひと目惚れ」とは、まさにこのこと。
 今回の企画展に合わせてご用意した数々の江戸小紋の中でも、廣瀬雄一くんが自らの手で持ち込んだ曰くつきの一反。それがこの「七宝」。実は唐津にやって来る直前に染め上げたばかりで、まだ最後の最後の検品まで至っておらずに、とある話のネタになると思って持ち込んでくれた一反。と申しますのも、11月30日からお江戸日本橋にある新旧の名建築が江戸小紋の“光の刺繍”で包まれるイルミネーション『真紅の光街~日本橋~』が始まるのですが、真紅に染まる光のデザインを監修したのが何を隠そう廣瀬くんで、イルミネーションに用いられた型紙がこの「七宝」なのです!すべからく!それに合わせて染められたのがこの「七宝」だったのです!
 企画展が始まると、前日に準備しながら陳列した時には無かった反物が弊社一階に転がされていて、「思い通りに染まっているかこれから確認しますが、欲しい方がいらっしゃれば売ります!」な〜んて冗談半分に言っていたところでした。が、二日目の本日、数年ぶりにご来店くださったお客様が開口一番「私、これがいい!」って、まだこの反物一反しかご覧になってないうちから。念のためにほかの色柄もご覧に入れたのですが、鏡の前で試着されると「やっぱりこれ!」って。嬉しい反面、本当に染まっているのか一抹の不安がありましたが、「本当に思い通りに染まっているか、一度持ち帰って確認します!」と廣瀬くんの太鼓判にひと安心。
 円が繋がって模様を作っているこの「七宝」柄は、新たなご縁や末永い繋がりを意味し、円満や調和への願いが込められた縁起の良い柄と言われています。一見無地のようで、目を凝らすと丸いつぶつぶで「七宝」の柄が見えて、なんて粋なんでしょう。日本の伝統工芸って素晴らしいですね。廣瀬くんにもお客様にも、ご縁に感謝するばかり。

世界最も精緻で粋な工芸品

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