紅葉と書いて、紅と碧。

 お客様宅の玄関先にあるお庭でのこと。
 と言いますか、門を開けて短い曲がり道をぐるっと玄関まで向かう途中、あまりにも紅葉が綺麗だったので見上げながら歩いていると「こんにちは!」が飛び出して来てびっくり。庭にどうかされていた御主人様が、苔を傷めないように落ち葉を手で一枚ずつ集めていらっしゃいました。
 奥様との商談を終え、ふたたび玄関先に一歩出るや否や「これ見てよ!この紅葉が一番好きなのよ」と真っ赤(実際にはもっと朱色)に色づいた葉っぱたち。と同じ幹の左手の枝は碧。なんとまぁ、そしてまた風が吹いて葉っぱがハラヒラフラホレ。
 またしてもついつい見とれてしまい、「濃いめの地色の江戸小紋が一枚欲しいですねぇ」と肝心の奥様からの御要望まで落としてしまうところでした。

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