妹さん(二女)の結婚式に母親代理として参列されるお姉様(長女)。彼女が小さい頃から知ってるだけに感慨深い。しかもきものの相談に来てくれたのですから尚更のこと。
写真の黒留袖五つ紋付は、ふたりのお母様が今回相談に来てくれた彼女が結婚する時にはじめてお召しになったもの。それから十数年間は箪笥の引き出しに眠ったままだったので、今回お召しになるにあたってシミがないかなど点検を兼ねて持って来てくれました。特にシミも気になるシワもなく状態は良かったのですが、お母様よりも身長が高くって手も長いので寸法も気になるところ。さっそくお着せしてみると予想通り裄(手の長さ)も身丈(背の高さ)も伸ばさねば。しかも見せかけの重ね着を演ずる真っ白な比翼が黒い裾からこんにちは。実はこれ、年を経た黒留袖には良くあること。比翼地が伸びたのではなくて湿気で縮緬地のきものが縮んでしまい、きものよりも縮み率の低かった比翼地が出て来たように見えるんですよね。これ幸いと寸法直しのついでに直しちゃいます。
ご家族のことを天国で見守ってくださっているお母様もさぞ喜ばれていることでしょう。こんな節目にお手伝いができるのですから、僕らも幸せを分かち合ってお手伝い。