男前の御召と綿入丹前。

御召二枚と綿入丹前。

 先日、黒紋付と絽袴を御注文頂いたお客様がふたたび。
 細かい採寸や羽二重の生地や染め方、染め抜く御紋など最終の打ち合わせが目的でしたが、黒紋付と絽袴を納品後に9月に向けて欲しいと言われていた御召二枚も「好きなのがあったからもう決めとこう!」と細い縞と無地をぞれぞれ決めて頂きました。ご持参頂いた長襦袢と袴をお着せして細部に渡って採寸を終えると、「細かい寸法も裏地の色もあとは任せるけん!あなたの思う通りにして!」とすっかりお任せ頂きましたので責任とお誇りを持って。お帰り際「ところで全部でいくらだったかな?代金はね、心配せんでも月曜日に支払いに来るけん!」と少しも後を濁さずに格好良すぎました。
 と、本日はもうひと山。お客さまのご紹介で山奥に隠居されているおじいちゃんから「お風呂上がりに着る綿入丹前を仕立てて欲しい」とのご要望。木綿、シルクウール、絹を持参した中から、大島紬の無地を選んで頂きました。丸くなっていらっしゃる背中も含めて採寸を終えると、「裏地は必ず木綿をつけてください」とこだわりをひとつ。軽くて丈夫な新しい大島紬をお買い上げ頂いたのは嬉しいのですが、本当はご自宅の箪笥に眠っていると耳にした結城紬を洗い張りをして綿入丹前に仕立て直すのがおすすめなんですけど。それは今回の着心地をご満足頂いたあとで。「山奥なんでね、美味しい魚が食べたい」とおっしゃったので、納品前には必ずやメバルを釣り上げて馳せ参じなければ。帰り際に頂いた一服のお礼も併せて。
 何はさておき女性が主役を張ることの多いきもの業界において、こうした男前の御所望ってのは嬉しくって仕方がありません。

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