会津桐の下駄。

会津桐の歯下駄

 お取引が中断して久しい先から、箱入りのお便りが届きました。
 「もしかすると送り先を間違えられたのでは?」と半信半疑ながらも、「ここ数年は取引がないのだから間違えて送られるわけがない」と開けてびっくりさらに疑問符が増えました。会津桐の上等な二本歯の下駄に、天鵞絨のこれまた上等の鼻緒挿げてあるではありませんか。お手紙も添えてないのでどうしたものかと電話を差し上げてみると、「この度、廃業を決めました。長らくお世話になった先様に一足ずつ記念に送っていますので受け取ってください」とのこと(泣)。
 思い返せば20年ほど前、家業を継ぐべく帰郷して数年経った頃のこと。年に一度、9月に唐津市民会館を会場に弊社としては大規模な展示会を開催していました。その時に取引先の紹介で大量の下駄や草履の台、それに挿げ鼻緒とともにご来場頂いたのが御縁の始まり。当時は恥ずかしながら履き物まで気持ちが行き届いておらずに、台と鼻緒を選んでお客様のお好みに合わせて挿げるなんて思いもよりませんでした。ところが国内屈指の挿げ職人と出逢ってからは一変、街の履物屋さんが少なくなった今こそ足元まで提案するのが呉服店の大切な役まわりだと思い、履き物についてイチから勉強させてもらいましたし、鼻緒の挿げも教えて頂きました。もちろんすべてにおいて足元にも及ばず、ますますついて行こうと思っていた矢先に、お互い不本意ながらも諸事情により御縁がぷっつりと切れてしまいました。
 ほどなくして新たな履物の仕入れ先との御縁を頂き、3年ほど経ったでしょうか。本日突然に届いた荷物には、一足の下駄に感謝と寂しさの念が溢れていました。それは僕も同じこと。お世話になったのは本当にこちらの方で、あんな職人気質な江戸っ子は探しても見つからないでしょうね。今はただ「履物ひとすじに長い間お疲れ様でした」という労いと感謝しかありません。この下駄は生涯をかけて大切に履きます。
 最も驚いたのは、僕の足の形ぴったりに挿げてあったこと。覚えてあったんでしょうね、流石です。

会津桐の歯下駄に天鵞絨の鼻緒
会津桐の歯下駄に、お洒落な天鵞絨の鼻緒。

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7月のきもの成績
若女将10vs10若旦那
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○6月/27vs28
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△5月/26vs26
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○4月/27vs28
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△3月/29vs29
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◉2月/27vs26
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◉1月/27vs11
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