染毛剤には特に御用心!

脇の解れ直しは朝飯前。

 3月11日にお嬢様が通われている中学校の卒業式にお召しになるきものと帯をお手入れでを預かりしました。つまり大至急!
 御主人様に託された奥様が書かれたメモには「きものも帯も2割引中の丸洗いをお願いします。きものには右胸にホクロがついています。もしも取れるようでしたらシミ抜きをお願いします」と書かれていました。全体を点検したのち、大至急ということもあってホクロを落とすのに試験してシミの成分を調べる時間がもったいないのでお客様に尋ねると、「お恥ずかしながらヘアマニキュアが飛んでしまったんです。ボトルにはヘアマスカラって書いてありました」とのこと。
 えっへん。ヘアカラー、マニキュア、マスカラなどをヘアーカラーリング剤と言いますが、大きく分けると「医薬部外品」にあたる染毛剤(ヘアカラー、白髪染め、ブリーチなど)と、「化粧品」にあたる染毛料(ヘアマニキュア、ヘアマスカラ、ヘアカラースプレー、カラートリートメントなど)があります。簡単に言うと、前者の染毛剤は髪の成分(色素)を分解して髪の毛の奥深くまで染料を浸透させるのに対し、後者は色素を壊さずに髪の毛の表面だけに染料が浸透して中心部までは染まりません。
 つまり、染毛料に比べると染毛剤はなかなか手強い敵となります。今回のお客さまはヘアマスカラ、つまり染毛料なので比較的取れやすいのではないか!と期待に向けを膨らませていましたが、何せ点けてしまってからしばらく時間が経っているため手強そうな予感。と同時に、両脇に解れがみつかったのでこちらも合わせて手を加えます。帯も長らく結ばれているので、結ぶ時にギュッと掴まれている縫い合わせ部分の糸が解けてしまっていました。お嬢様の卒業式をきっかけに親子の絆を結ぶ帯を放っておくわけには参りません!と右胸のホクロがうまく取れることを祈るばっかり。
 ご家族の大切な節目に向けたへアカラーリングは、きものをお召しになる数日前にしておきましょう。チャンチャン♪

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