地域の消防団員として、

 閉店間際に建物火災を知らせる防災メールが鳴り響きました。
 仕事の手を止めて活動服に着替え自転車をかっ飛ばして現場に向かうと、近づくにつれて黒くモクモクと上がる煙が大きくなり、久しぶりの大火を疑わず緊張感が高まりました。所属する消防団のポンプ車は火点(出火元)から少し離れた場所に消火栓を確保し、急いでホースを延ばすこと10本(200m)。放水を始めると同時に、現場周辺の交通整理などを担当。一線、また一線と増えていく放水の数と反比例するように火の勢いはなかなか収まらず、ようやく放水止め!の指示が届いたのは、現場に着いてから約2時間半後のことでした。放水を伴う消火活動において極寒の冬季はもちろんのこと、蒸し暑い夏も過酷を極めます。今回の現場のように坂道が多いと尚更のこと。
 そんな中、喉から手が出るほど欲しかった飲料を買いに行った現場近くのナガタ酒店から「お金は要らん」とお茶が、消防団OBの経営する平岡石油店から「汗を拭いて」とタオルが届き、今日も頑張って良かった!と疲労困憊の身体から涙が溢れました。嬉しすぎて実名を全世界に発信します!反対に残念だったのは、スマホで写真を撮る野次馬、時には「どうして車が進入できないのか!」と怒り出すお兄ちゃん、井戸端会議をはじめるおばちゃんはいても、現場近くの住民のみなさんから「おつかれさま」のひと言も聞こえてこなかったこと。まぁ事故も怪我もなく活動終了したことは何よりでしたけど。
 僕たち消防団は地域住民のみなさんの安全安心のために、家族との時間や時には仕事の手を止めて訓練を重ねたり防災や消火活動に取り組んでいます。地震や津波などの大災害の時にも率先してボランティアで活動しているのは地域の消防団にほかなりません。恩着せがましく聞こえても構いません!もっと消防団に対する評価というか関心が高まっても良いように思うのです。今日のような火災の現場では特にその周辺地域の安全を確保するために全力を尽くしています。さらに活動終了後にはホースやポンプ車を洗って、晴れた翌日にはホースを撤収したり備品の点検などもあります。また火災現場を管轄する地域の消防団は、再燃防止のために翌朝まで警戒する義務があります。あぁそれなのに、それなのに。そんな僕たちに過大な評価や余計な金品は必要ありませんが、「ごくろうさん」とか「おつかれさま」とかいう言葉や気持ちだけでも頂けると、頑張って良かったな!と次の活動への糧になるのです。
 僕には3人の娘がいますが、嫁に行くまでには消防団など地域のために活動している人がいたら、「ごくろうさまです」「ありがとうございます」って声をかけたり、もしも生活に余裕があったらお茶やおにぎり、時には味噌汁やカレーなどを炊き出して応援してあげられる人間になるように教育しようと思います。積極的に地域を支えようとしている人たちを応援してこそ、地域の絆はより強まって、それがいざという時の大きなチカラになると信じているからです。唐津を愛するからこそ、年を追うごとにそんな気持ちが大きくなります。これまできものに関するネタばかりでしたが、これからは「地域のこと」も少しずつ記していこうと思います。
 なんてことはさておき、どちらさまも火の用心で。さ、明朝はラジオ体操の当番日だ。

追伸
ナガタ酒店さま、平岡石油店さま、万歳!

地域の消防団員として、」への2件のフィードバック

  1. 大変お疲れ様でした‼️(`・ω・´)ゞ同じ消防団だから、わかります…全く同感です‼消防団のいる家族はもっと社会的に優遇されてもいいと思いますよ!
    とにかく、正業のかたわら、大変です、自分も寒い中、濡れてるのに、朝までホウス這わしたまま、真っ暗な農道の中待機した時は大変でした!お互い地域防災のため、頑張りましょう!

    1. 鶴田さま、
      コメントありがとうございます。
      くれぐれも戸締り用心火の用心で愛する郷土のために頑張りましょう!

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