鶴と松の紐飾り刺繍。

鯉が勢いよく滝を昇るお宮参りのきもの

 50年以上前の一つ身お手入れでお預かりました。
 やや白けた地色の黒と生地の質感が時を経た重みを感じさせてくれます。「鯉が険しい滝を登り、竜になった」という故事から、勢いよく竜門に向かって滝を昇る鯉は竜の化身と言われています。また厳しい関門や試験などを「登竜門」と言いますが、これに由来します。勇ましさとか勢いとか、格好良さとか、いかにも男の子らしい色柄のお宮詣りの一枚です。
 「このきものはたしか、、、主人の母が池田屋さんで買ったって言ってました」な〜んて言われると嬉しくなりますし、お気持ちはありがたいのですが実際にはどうかわからないことが少なくありません。が!このきものは間違いなく弊社でお買い求めいただいたものでっす!その証がこちら(写真下)。お宮詣りの時に赤ちゃんを抱っこした上からかける一つ身には、落ちないように背中で結ぶように紐がついています。その付け根の部分に昔は必ず「鶴と松の紐飾り刺繍」を施していたらしいのです。現在は白生地から誂えて頂く場合には同様の刺繍を施すのですが、既製品に施すことはありません。ご想像の通り手間とお金がかかるのと、この刺繍をしてくださる方がおひとりしかいないためです。昔の人たちは見た目にもこだわっていたみたいですが、ひと針ずつ刺しながら赤ちゃんの健やかなる成長を祈っていたのです。その名残として池田屋では紐飾り刺繍を施していました。
 というのが何よりの証拠。なんだか嬉しくなりました。

鶴と松の紐飾り
昔は必ず刺していたという鶴と松の紐飾り

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