「羽織をお探しのお客様がお待ちなので早く戻って!」
博多で開催された取引先の新春移動市からの帰り道、初雪と強風にハンドルを取られないかとはらはらしていると一本の電話。いつもお世話になっている大切な方へ羽織を贈りたいとのこと。あんなのがいいかな?こんなのがいいかな?と思いを巡らせて店に帰り着いた頃にはもうとっくに決まってしまったあとの祭り。どころか大祭典。
もっともお世話になっている男性には、無地の紬に源氏香の裏を合わせて背中に銀糸で壽の一ツ紋。その奥様には若菜色字に亀甲と若松を重ねた小紋。ねんのためにパールトーン加工も併せて。もうお一人の男性には、細縞の紬に西洋タバコ模様の肩裏。
すべて羽織にお仕立て。羽織三枚、羽織三昧はお洒落三昧。