振袖物語。

 振袖をお手入れに持ち込まれたおばあちゃん。
 「先日、こちらで足袋を買った時に『お手入れもお預かりしています』と言われたので持って来ました!もう誰も着ないと思いますけど、雨に濡れたので念のために丸洗いをお願いしときます!」と、ここまでは成人式明けあるある。その後に「あたしもねぇ、」と切り出されてからが片腕繁盛記のはじまりはじまり。
 実はこのおばあちゃん、女で一つでお嬢さんを2人と息子さん1人を育てた後に、訳あってお孫さん2人を国立大学、最後のお1人をを専門学校まで育てあげられたという計り知れない苦労話の持ち主。「本当によく働いた。何が何でも孫だけはと思い、自分でもどうやって家計をやり繰りしたか覚えてませんよ。けどこの子に晴れ着を着せてあげれば、これで私の仕事はおしまい」と、娘3人を育ててるくらいで苦労してるつもりだった自分が恥ずかしくなってしまいました。
 お預かりした振袖は、お嬢様お2人のために誂えられた30数年前のものでしたが、とても状態良く保存されていました。まだ成人式当日の湿気が残っていましたが、丸洗いをすれば大丈夫そう。今回が最後ではなく、是非ともお孫さんの次のひ孫さんにまでおばあちゃんの想いを受け継いで欲しいものです。
 「おかげさまで老後のお金はなーんにも残ってない」と万歳しながら話されるおばあちゃんは、満面の笑顔。僕たちの方が目頭が熱くなってしまいました。

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